車検切れの車に乗れるようにするには?
費用、売却や廃車の方法も解説
車には2年に一度の継続車検が義務付けられていますが、何かしらの事情で車検が切れてしまうこともあるでしょう。
車検切れの車を、「もう一度車検を受けて乗れるようにしたい」「売却や廃車も検討すべきか」など、その後の処分をどうするかお悩みではありませんか。
車検が切れた車を公道で走らせると罰則を受けるため、車検や査定の持ち込みの際には通常とは異なる手順・手段をとる必要があります。
本記事では、車検切れの車に乗っているとどうなるか、車検切れの車を車検に通す方法と費用、車検切れの車の売却・廃車の方法について解説します。車検が切れた人、切れそうな人はぜひ参考にしてください。
1.車検が切れたら公道を運転できなくなる
故意的に、または忘れていたなどの理由で車検が切れた場合、公道を運転することはできなくなります。まずは、運転できなくなるタイミングや罰則について見ていきましょう。
満了日が過ぎた時点で運転はNG
車検の満了日が過ぎた時点で、公道での運転はできなくなります。例えば、満了日が「令和4年4月30日」だとすると、次の日の5月1日に公道を走らせると違反になります。
車検の満了日の確認方法は、車検証の「有効期間の満了する日」の欄、または車検シールの裏側の表記で確認できます。
車検切れの車を所有すること自体は問題ではなく、私有地で走らせるだけであれば違反にはあたりません。
運転したら罰則が科せられる
「車検切れでもバレないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、車のフロントガラスの車検シールを見ると、満了日を過ぎていることがひと目で分かります。
信号待ちや駐車場でパトロール中の警察官に見つかるなど、「車検切れは確実にバレる」と考えた方がいいでしょう。
車検切れの車を走らせた場合の罰則は、道路運送車両法と自動車損害賠償保障法により、次のように定められています。
【車検切れのみの場合】
・違反点数6点
・6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金
・30日間の免許停止処分
【車検と自賠責保険が切れている場合】
・違反点数6点
・1年6カ月以下の懲役または80万円以下の罰金
・90日間の免許停止処分
車検と自賠責保険が両方切れていると処分が重くなります。通常、車検と自賠責保険の更新は同じ時期なので、車検が切れているということは自賠責保険も切れている可能性が高いです。
車検切れの罰則について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
出典:道路運送車両法 第58条・第108条 | e-Gov法令検索、自動車損害賠償保障法 第5条・第86条3項 | e-Gov法令検索
なお、車検切れした際の罰則については、こちらの記事で解説していますので、ご参考ください。
「車検切れは罰則対象になるの?免停期間や流れ、切れてしまったときの対処法も解説」
2.車検切れの車を運転する危険性を理解しておこう
車検切れ(および自賠責保険も切れている)の状態で運転し、事故をおこした場合、何千万円を支払うケースも報告されています。
万が一、車検切れの車で人身事故など起こしてしまうと、被害者のケガの程度、加害者の過失責任の程度によって大きな経済的負担を背負うことになります。
任意保険で相手への補償は対象になりますが、車検切れの場合は「重大な過失」と判断され、自分のケガなどの補償は対象外になり、保険金が支払われない場合もあります。
さらに、車検切れだけでなく自賠責保険まで切れていると、無保険運行の処分が加わるため罰則が重くなります。
仮に、20代で扶養家族ありの方が亡くなられた場合の損害額目安はおよそ9,500万円、重度後遺障害を被られた場合は1億9,000万円とも言われています。
このような事態にならないよう、車検切れの車を運転する危険性を十分理解しておくことが大切です。
3.車検切れの車に乗れるようにするには?
故意的ではなくても、うっかり忘れて車検が切れていたということはあるかもしれません。では、車検切れの車に乗れるようにするにはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、車検切れの車を車検に出す方法について、手順・費用・注意点について詳しく解説します。
市・区役所で仮ナンバーを発行してもらう
まずは、車検場などに車を持ち込むために仮ナンバーを取得する方法です。市・区役所で仮ナンバーを発行してもらうことで、15日間は公道を走らせることが許可されます。
仮ナンバーとは、未登録や車検が切れた自動車が道路を走行するための暫定的なナンバープレートです。新規登録車検や継続車検を受けるなど、運行の目的や経路などを申請することで発行されます。
仮ナンバー発行の概要は、次のとおりです。
利用できる期間 | 15日間 |
---|---|
必要なもの | 運転免許証、車検証、自賠責保険証、認印 |
発行手数料 | 1台につき700~800円(市区町村によって異なる |
発行の方法は、市区町村役場の窓口で自動車臨時運行許可申請書の用紙をもらって記入し、持参した必要書類と共に提出します。
申請が受理されれば、自動車臨時運行許可証と仮ナンバーが即日発行されるため、仮ナンバーの有効期間中に車を車検場や売却先に持っていきましょう。
なお、仮ナンバー取得のためには、自賠責保険への加入が必須である点には注意してください。もし自賠責保険が切れていた場合、短期の保険に加入するなどの対応も必要です。
出典:令和4年4月1日からの自動車臨時運行許可申請について
再車検をおこなう
車検切れの車を乗れるようにするためには、再車検が必要です。車検切れの車の車検には、新規検査と継続検査の2通りあります。それぞれの概要や適用条件、費用は次のとおりです。
● 新規検査の場合
車にナンバープレートが付いていない状態で受ける車検を「新規車検」と呼びます。廃車にしてナンバープレートを返還している場合は、「中古新規登録」扱いとなります。
中古新規登録の再車検は、主に次の流れで行います。
1.点検整備
2.陸運局または軽自動車検査協会の窓口へ必要書類提出
3.検査場で検査
4.検査合格後に窓口にて車検証の受け取り
5.自動車税申告書の記入
6.自動車税の支払い
7.ナンバープレートの購入・取り付け
車の点検整備を行った状態で、普通自動車は陸運局へ、軽自動車は軽自動車検査協会へ車を持ち込み、車検検査を受ける流れになります。
必要書類と手続きにかかる費用はこちらの表を参考にしてください。
必要書類 | ・申請書 ・手数料納付書 ・登録識別情報等通知書 ・一時抹消登録証明書 ・自動車損害賠償責任保険証明書 ・自動車検査票 ・自動車重量税納付書(重量税印紙を添付) ・自動車保管場所証明書 ・印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの) ・印鑑 |
---|---|
登録申請手数料 | 1台につき700円 |
検査の手数料 | 普通自動車:1,400~2,500円 軽自動車:1,500~1,800円 |
● 継続検査の場合
ナンバープレートを返還せずに、車検切れのまま放置していた車は、「継続検査」の扱いになります。検査の流れや必要書類は新規検査とほぼ同じで、一時抹消登録証明書のみ不要です。
登録申請手数料 | 1台につき700円 |
---|---|
検査の手数料 | 普通自動車:1,400~2,500円 軽自動車:1,500~1,800円 |
車検切れの車を車検場に持っていくには積載車の手配や引き取り料金がかかることも
仮ナンバーを発行せずに車検場へ持っていく方法として、積載車の手配や引き取りを依頼する方法もありますが、その際には別途料金がかかります。
積載車の手配にかかる費用の相場は、基本料金が1万5千〜2万円ほど、移動距離によって料金が加算される仕組みが一般的です。移動距離によっては高額になることもある点には注意が必要です。
車検切れの車の車検を代行業者などへ委託する場合は、通常の車検手続きの代行手数料に加えて、車の移動のための積載車手配や引き取り料金がかかることは留意しておきましょう。
4.車検切れの車は売却できる?
車検切れの車であっても、保有しているだけで自動車税がかかることもあり、売却したいとお考えの方もいるでしょう。
売却する際に車検が残っているに越したことはないですが、車検切れの車であっても売却は可能です。売却する方法や、高く売るためのポイントを確認していきましょう。
車検切れの車を売却する方法
車検切れの車を売却するには、車買取業者に買い取ってもらう方法が一般的です。車検切れの車であっても、「車の状態が良い」「人気車種である」といった場合は、買い取ってもらえる可能性は大いにあります。
必要書類を用意して買取査定を依頼しましょう。ただし、買取の査定のためにその車を運転して店頭へ行くことはできない点には注意してください。訪問査定や出張買取などが可能かどうか、車買取業者に相談してみると良いでしょう。
少しでも高く売るには?
車検切れの車を少しでも高く売るポイントは、次の3つです。
1.車が少しでも新しいうちに査定を依頼する
2.査定の前に車を綺麗にしておく
3.売却に必要な書類を準備しておく
大切なのは、早めに行動を起こすことです。なぜなら、年式が古くなるにつれ車の査定額は低くなる傾向にあるからです。車が少しでも新しいうちに、査定を依頼してみましょう。
また、車の査定の前には、車の内部・外部を清掃して綺麗にしておくことで、「丁寧に手入れされている」と印象がよくなり、前向きに検討してもらえる可能性があります。カーワックスや鈑金修理まで行う必要はないですが、できる範囲で綺麗にしておきましょう。
査定を受ける際には、前もって必要書類を準備しておくことで売却の意思を伝えられるうえに、手続きもスムーズに進められます。車検証、自賠責保険証明書、自動車税納税証明書、印鑑登録証明書、メンテナンスノート、点検整備記録簿などは最低限用意しておくと良いでしょう。
5.車検切れの車を廃車にするには?
車検切れの車を乗れるようにしたり、売却したりせずに、廃車にする方法について解説します。
車の廃車の方法には、「永久抹消」と「一時抹消」の2種類あります。永久抹消は車を解体して永久抹消登録の手続きを行い、一時抹消はナンバープレートを返納する形で対応します。
永久抹消と一時抹消の、それぞれの必要書類は次のとおりです。
廃車の方法 | 必要なもの |
---|---|
永久抹消 | ・印鑑証明書 ・車検証 ・移動報告番号の控え ・解体報告日の控え ・実印 ・前後2枚のナンバープレート |
一時抹消 | ・印鑑証明書 ・車検証 ・手数料納付書 ・一時抹消登録申請書 ・自動車税自動車取得税申告書 ・前後2枚のナンバープレート |
登録手続きは陸運局で行いますが、永久抹消の場合は事前に解体を完了させ、解体報告日の控えとナンバープレートを用意しておく必要があります。
万が一、ナンバープレートや車の盗難などが原因で一時抹消を行うなど、必要書類が揃わないケースも考えられます。そのような場合は、事前に警察へ盗難被害届を提出し、「理由書」と共に提出することで対応できます。
出典:永久抹消登録及び解体届出 - 近畿運輸局
6.まとめ
ここまで、車検切れの車に乗れるようにする方法や費用と、売却や廃車の方法について解説してきました。
車検切れの車で公道を走ると、道路運送車両法への違反行為として罰則があります。自賠責保険も切れていると、さらに重い処分が科せられます。
車検切れの車に乗れるようにするには、①仮ナンバー発行 ②再車検 ③積載車の手配や引き取りといった方法で、車検の取り直しをしましょう。
車検切れの車でも保有していると自動車税がかかるため、乗らない場合は売却や廃車という方法も検討すると良いでしょう。
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