車検に合格するブレーキパッドの基準とは?交換目安や費用も解説
ブレーキは、車が事故を起こさず安全に運転するために最も重要な装置といって良いでしょう。安全運転のためには、最適なブレーキの状態を常に維持し続ける必要があります。
ブレーキシステムを支える部品の中でも重要なパーツがブレーキパッドです。ブレーキを使うことで摩耗するため定期的な交換が必要な消耗品ですが、車検項目にはブレーキパッドの厚みに関する項目はありません。
本記事では、車検時におけるブレーキパッドの検査基準やブレーキパッドの重要性、適切に交換しなかった場合に起こりうるリスクを解説します。
1.ブレーキパッドの役割
ブレーキパッドは、車のブレーキを作動させるための部品です。2枚一組で、ホイールの内側にある「ブレーキローター」という部品を挟み込むように設置されています。
ブレーキローターは、タイヤが回るとタイヤやホイールとともに回転します。ドライバーがブレーキを踏み込むと2枚のブレーキパッドが作動し、ブレーキローターを両側から強く挟みます。ブレーキパッドによりブレーキローターに加わった強い摩擦力でタイヤの回転を停止させるという仕組みです。
2.車検に合格するブレーキパッドの残量とは
ブレーキパッドは新品の場合7mm〜10mm程度の厚さがありますが、車検ではブレーキパッドの厚みに関する項目はありません。検査場でブレーキが効けば問題ないと判断されます。つまり、ブレーキがきちんと効きさえすれば、ブレーキパッドが摩耗し厚さ1mmになっていても車検に合格できます。
しかし、ブレーキパッドが薄くなるとブレーキの効きが悪くなるのは事実です。車検に通るからといって交換しないでいると、いざというときにブレーキが効かず大事故につながる恐れがあります。
3.ブレーキパッドの交換目安
ブレーキパッドは、ブレーキを使用すればするほど、ブレーキローターとの摩擦により薄くなっていきます。安全に走り続けるためには、ブレーキパッドを適切な時期に交換する必要があります。
適切な交換時期は、走行距離やブレーキパッドの厚さ、走行時の異音の有無で簡単に知ることができます。
走行距離から検討する
自家用車の場合、一般的に走行距離1万kmにつきブレーキパッドが1mm摩耗すると言われています。ブレーキパッドの交換は、5mmほど摩耗してくる5万kmあたりから検討すると良いとされています。
ブレーキパッドの厚みが5mm以下になると、ブレーキを作動させたときにパッドとローターに熱が発生しやすくなるため、摩耗スピードが上がります。パッドの厚みが3〜4mm以下になるとブレーキの効きが悪くなり始めるので、その前に交換しておくと安心です。
ただし、走行距離から判断できるブレーキパッドの摩耗量はあくまで目安であり、絶対ではありません。運転スタイルにより摩耗が早まる可能性もあります。
ブレーキパッドの厚さを見る
ブレーキパッドの厚さを目視で確認すれば、交換時期の目安をより正確に知ることができます。
車をジャッキアップさせホイールを外すと、ディスクブレーキが出てきます。そのうえでブレーキキャリパーの点検窓を覗くとブレーキパッドが見えるので、そこで厚みが確認できます。
走行時に異音はしてないか
国産車のほとんどには「パッドウェアインジケーター」と呼ばれる金属部品が付いています。この部品はブレーキパッドに付いている部品で、パッドが摩耗すると金属部分が異音を立てる仕組みとなっています。ブレーキの異音が足回りから聞こえてきたらブレーキパッドが消耗しているかもしれません。早めにブレーキパッドを交換しましょう。
また、一部の国産車や海外製の車では、パッドウェアインジケーターが付いていない代わりに電子部品をブレーキパッドに取り付け、摩耗したときに警告灯が出る仕組みになっています。インパネ(運転席前面の計器盤)部分にブレーキ警告灯ランプが点灯したら、早めにブレーキパッドを交換しましょう。
4.ブレーキパッドの残量を放置し続けた場合のリスク
ブレーキパッドが摩耗しているのに交換せずに車に乗り続けると、思わぬ故障や事故につながるリスクがあります。代表的な3つのリスクを解説します。
ディスクローターの破損につながる
前述のとおり、ブレーキはディスクローターをブレーキパッドで挟み込むことで作動します。摩耗したブレーキパッドを使い続けると、挟まれるディスクローター側にも傷が付き、ヒビ割れや破損の原因となります。また、ブレーキパッドが摩耗し摩擦熱が発生しやすくなると、ブレーキパッドの摩耗やディスクローターの劣化がさらに早まります。
ブレーキキャリパーの不具合につながる
激しい運転を繰り返すと、ブレーキパッドが「ハの字型」に偏って摩耗してしまいます。そうなるとブレーキパッドとディスクローターの接触面積が狭くなるため十分な摩擦力が生まれず、ブレーキキャリパーが開いたといわれる状態になるため、ブレーキの効きが悪くなります。
ブレーキキャリパーの開き以外にも、摩擦熱がブレーキキャリパーに伝わることでブレーキフルードの液漏れにつながる可能性もあります。
ブレーキの故障につながる
ブレーキパッドの摩耗によって上記のトラブルが一つでも起きると、悪影響が他の箇所にも及んでしまいます。
ブレーキパッドの交換だけで済むはずが、放置したことでディスクローターやブレーキキャリパーなどブレーキをコントロールする部品の多くに不具合が発生し、車検が不合格になる可能性があります。その結果、車検を通すための修理費もかさんでしまいます。
ブレーキは安全に車に乗るために最も重要な機能の一つです。リスクを最小限にとどめるためにも、ブレーキパッドの厚さに余裕を持って交換しましょう。
5.ブレーキパッドの交換費用
ブレーキパッドは自分で交換することも可能ですが、ディーラーや信頼できる整備工場などで交換してもらうほうが安心です。また、ブレーキパッドは車の安全に関わる重要な部品なので、国の認証を受けた整備工場でしか交換できないよう定められています。
ブレーキパッドの交換にかかる費用は、ブレーキパッドの本体価格と作業工賃を合わせた額となります。作業工賃は、軽自動車の場合、左右セットで6,000円程度、普通自動車の場合は左右セットで8,000円程度が目安です。大きな車やスポーツカーなどの特殊な車種だと10,000円程度になる場合もあります。また、作業工賃は整備工場によって価格設定が異なるため、工場によっては上記よりも高い料金を設定しているところもあります。
ブレーキパッドの本体価格は、軽自動車の場合1セット7,000円程度、普通自動車の場合8,000円程度が目安です。ミニバンやスポーツカーなど大きめのブレーキパッドが必要な車の場合は、純正品だと15,000円前後と高額になることもあります。費用を抑えたい場合は社外品のブレーキパッドを検討しても良いでしょう。
したがって、軽自動車のブレーキパッドを交換する費用の目安はトータル13,000円程度、普通自動車のブレーキパッド交換費用は16,000円程度となります。
車検時にブレーキパッドを交換すると安くなる?
車検時に行う点検の際は車体をリフトアップするため、車検と同時にブレーキパッドの交換をすると、通常工賃よりも安くなる事があります。費用を節約したい場合は、車検時や定期点検の際にブレーキパッドの交換もまとめて依頼してしまうのがおすすめです。
6.ブレーキパッドの消耗を抑えるには?
ブレーキパッドは消耗品ですが、いくつかのポイントに気をつけて運転すると寿命を延ばすことができます。安全運転にもつながるものなので、日頃から意識して運転してみましょう。
急ブレーキを控える
ブレーキパッドの摩耗を抑えるには、ブレーキパッドに負担をかけないブレーキの踏み方を覚えることが大切です。アクセルを緩めたり上手にシフトチェンジしたりすることでエンジンブレーキを効果的に効かせ、フットブレーキの使用を最小限にとどめる走り方が推奨されています。
ブレーキパッドに負担をかける要因の一つが急ブレーキです。高速で回転しているタイヤを瞬時に止めるためには、非常に高い負荷がブレーキパッドにかかります。緊急時以外は軽くブレーキを踏むように心がけましょう。
無理に車間距離を詰めない
急いでいるときや高速道路から降りた直後だと、ついつい車間距離を詰めてしまうことも多いと思います。しかし、車間距離が短いと前の車が減速した場合に急ブレーキをかけなくてはいけませんし、思うようにブレーキが効かなければ追突の危険性もあります。車間距離に余裕を持って走行しましょう。
また、雨の日は急ブレーキを踏んでも制動距離(ブレーキを踏んでから自動車が実際に止まるまでの距離)が長くなる傾向にあります。安全のためにも、普段からしっかり車間距離を取って適切な速度で走行しましょう。
勾配の急な道での運転に気をつける
一般的にMT(マニュアル車)よりAT(オートマ車)のほうがブレーキパッドが消耗しやすいといわれています。それは、マニュアル車に比べてオートマ車はエンジンブレーキを使いにくい、という問題が関係しています。しかし、オートマ車でも低いギアにシフトチェンジすることでエンジンブレーキを活用することが可能です。エンジンブレーキはブレーキパッドを使用しないため、無駄な消耗を抑えられます。
7.まとめ
自家用車の点検・整備は使用者の義務です。特にブレーキは車を安全に乗り続けるために不可欠な機能ですので、定期的にチェックし、摩耗が気になった場合は余裕を持って早めに交換しておきましょう。
ブレーキパッドの交換は車検時に行うのがおすすめです。WECARSの安心WE!車検は高品質なサービスを受けることができ、また代車も無料で貸し出しています。
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