車検の法律とは?主な規則と罰則をわかりやすく解説
車検は車を安全に走行するために必ず合格しなければいけないものであり、検査の項目やその項目をクリアするための基準は厳格に定められています。しかし、基準をしっかり把握し理解できている方は少ないでしょう。
本記事では、車検にまつわる法律や規則、罰則についてわかりやすく解説します。
1.車検の主な法律
車検は法律により定められた車の検査です。正式名称は自動車検査登録制度といい、国が定めた保安基準を満たしているかが確認されます。保安基準を定めた法律を「道路運送車両法」といいます。
道路運送車両法とは
道路運送車両法は1951年に制定された法律です。国土交通省が所管しており、公道を利用する車やバイクなどにまつわる大切な決まりが記されています。車を取り巻く環境の変化や技術の進歩に合わせ、法律の改正も度々行われています。
道路運送車両法の目的
道路運送車両法第一条によると、道路運送車両法は公道を利用する道路運送車両に関して以下の4つの事項を行うことを目的としています。
- 所有権の公証などを行う
- 安全性の確保や公害の防止、その他の環境の保全を図る
- 整備の技術の向上を図る
- 自動車の整備事業の健全な発達により、公共の福祉を増進する
道路交通法との差異
車にまつわる法律としては道路交通法と呼ばれる法律もあります。道路運送車両法が車の構造面から環境整備のための保安基準などについて定めた法律であるのに対し、道路交通法はドライバーと歩行者が共存できる安全な車社会を作るための具体的なルールを定めた法律です。酒気帯び運転や信号無視などの危険運転は道路交通法のもと罰せられます。一方、車の法令点検や車検の保安基準については道路運送車両法により定められています。
2.法律で定められた車検の項目
車検の項目は、道路運送車両の保安基準として道路運送車両法により細かく定められています。
保安基準
私たちが普段車検と呼んでいるのは、正しくは継続検査といわれるものです。継続検査とは、新車登録時に得た自動車検査証(車検証)の有効期間が満了した後も引き続き車を使用するために受ける検査のことです。自動車検査証(車検証)の有効期限を延長させるための検査と言い換えることもできます。
道路運送車両法第四十条には、車の構造や装置が国土交通省令で定める保安基準に適合していなくてはならないと記されています。保安基準とは、公道を利用する車の安全性の確保と公害の防止や、歩行者や自転車の安全を守るために設けられた基準で、車検は保安基準をすべてクリアすることで合格となります。
点検および整備
道路運送車両法第47条では、車のユーザーは車検以外でも車が保安基準に適合し続けているかを日常的に点検および整備する必要があると記されています。ブレーキランプなどの目視点検やブレーキの効きが問題ないかなど、ドライバーは日常的に車の状態をチェックし、必要に応じて整備する義務があります。
また、道路運送車両法第四十七条では、自分では点検・整備が難しい自動車の内部構造の点検などは、法定12ヵ月点検・法定24ヵ月点検として整備工場などで点検・整備してもらう必要があるとも定められています。
なお、法定点検については以下の記事でより詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
「車検と法定点検・12ヶ月点検の違いは?検査項目やいつ行うのかを解説」
検査
車検には継続検査のほか、新規検査・予備検査・構造等変更検査といった検査の種類があります。新規検査は新車を初めて使用するときや登録抹消手続きをした車を再び登録するときに受ける検査です。構造等変更検査は車の改造をしたときに自ら届け出を出し、保安基準を満たしていることを証明するための検査です。
どの検査も道路運送車両法第五十八条〜第七十六条により細かく規則が設けられており、検査に合格することで自動車検査証が交付され、公道を走行できるようになります。
3.法律で定められた車検業者の項目
道路運送車両法では、ディーラーや民間整備工場など、車検・整備事業を行う車検業者に対しての項目も記されています。なかでも利用者の方に関係するのが、指定工場・認証工場に関する項目です。
指定工場は認証工場の一つですが、車検を行うための設備があり自動車検査員が所属している工場を指します。民間車検場といわれることもあり、車検を実施して保安基準適合証の交付を行うことができます。
4.法律で定められた車検検査員・整備士の項目
車の点検・整備をする自動車整備士や車検にまつわる検査をする自動車検査員になるためには、道路運送車両法で定められた技能検定や指定された講習・試験を受ける必要があります。それぞれの資格について解説します。
自動車整備士
自動車整備士は、自動車の点検・整備を行う仕事です。一級・二級・三級と特殊整備士の4種類があり、どの種類の資格も国土交通省が行う自動車整備士技能検定(学科試験&実技試験)を受け合格しないと取得できない国家資格で、整備不良に起因する事故を未然に防ぎ人の命を守る重要な仕事となります。認証工場や指定工場には自動車整備士資格を有した整備士が一定数いる必要があります。
自動車検査員
自動車検査員は、車検の検査項目をチェックする完成検査や、車検にまつわる書類の作成・管理を担当します。自動車検査員になるには、地方運輸局長が行う自動車検査員教習を受講し修了試験に合格する必要があります。教習を受講するためには自動車整備士一級または二級を有していなくてはなりません。
また、指定工場には自動車検査員が必ず一人以上在籍している必要があります。自動車検査員はみなし公務員として扱われるため守秘義務があり、保安基準を満たさない車を車検に通すために金銭をもらったりした場合は収賄罪に問われます。
5.車検に関連する違反をした場合の罰則
車検を受けていなかったり、車検時に更新する自賠責保険に加入していなかったりした場合は、道路運送車両法のもと罰せられます。無車検運行や無保険運行をした場合の罰則については以下のとおりです。
無車検運行
車検が切れた状態の車を公道で利用した場合、無車検運行とみなされ、道路運送車両法第百八条により6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰が科されます。また、道路交通法により違反点数6点が加算されるため、いわゆる一発免停(免停30日間)となります。つまり、無車検運行は刑事処分と行政処分の両方が下される犯罪ということです。
もし車検切れしてしまった場合は、仮ナンバーを取得するか積載車などで運ぶ必要があります。
無保険運行
自賠責保険は、自動車損害賠償保障法により自動車の所有者全員に加入が義務付けられている強制保険です。交通事故が発生した場合の被害者の補償目的として重要な役割を担う、交通事故被害者救済のための対人保険制度となっています。
車検時に更新することが多い自賠責保険ですが、これが切れている状態で公道を走行した場合、自動車損害賠償保障法第五条と第八十六条により1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。道路交通法による行政処分としては無車検運行と同様、違反点数6点が加算され一発免停(免停30日間)となります。
車検も自賠責保険も切れている車を公道で走行させた場合は、1年6ヵ月以下の懲役または80万円以下の罰金が科されます。行政処分もかなり重くなり、違反点数6点で免停90日間の処分が下されます。
なお、自賠責保険に加入していても証明書を携帯していなかった場合は、自動車損害賠償責任保険証明書不携帯として、自動車損害賠償保障法第八条により30万円以下の罰金が科せられます。自動車検査証(車検証)の不携帯も、道路運送車両法により50万円以下の罰金と定められています。自動車検査証(車検証)と自動車損害賠償責任保険証明書は必ず車の中に保管しておきましょう。
6.まとめ
安全で秩序ある車社会を維持し続けるために、さまざまな法令が整備されています。私たち一人ひとりが社会の一員としてしっかりと法律を認識し運転することが、安心安全な車社会には欠かせません。
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