Nシステムは車検切れ車両を検知できる?設置場所や目的を徹底解説
国土交通省の調査では、公道を走る無車検車の数は20万台〜30万台にものぼるとされています。無車検車を見分ける方法は複数ありますが、現在はNシステムの自動車ナンバー自動読取装置による摘発が主流です。特に近年登場した「可搬式Nシステム」なら、無車検車をリアルタイムに判別できます。
この記事では、Nシステムの仕組みや取り締まり方法、オービスとの違いなど、Nシステムについて徹底的に解説します。
1.車検切れを検知するNシステムとは?
Nシステムを活用するとナンバープレートから車検切れ車を見つけ摘発することができますが、無車検車の取り締まりだけに用いられるわけではありません。まずはNシステムがどのような装置なのかを理解しましょう。
システムの概要
Nシステムとは、路上に設置されたカメラによって車のナンバープレートを読み取り、データベース上の手配車両と照合するシステムです。ナンバーだけではなく、通過時間や車の外装、運転手や助手席に乗っている人の顔も判別され、どの車がいつ通過したかも記録されます。
情報は主に手配車両や盗難車の捜索などの犯罪捜査に活用されていますが、自動車登録情報のデータベースと照会すれば撮影した車が無車検かどうかも調査できます。近年は移設可能で車を即時摘発できる「可搬式Nシステム」が導入され、無車検の取り締まりも強化されています。
システムの目的
Nシステムは主に犯罪捜査で用いられるため、「車両捜査支援システム」「初動捜査支援システム」「車両ナンバー捜査支援システム」「緊急配備支援システム」とも呼ばれています。設置の主な目的は逃走車や盗難車、違法車両など、これまで検問を実施しなければ発見できなかった手配車両の迅速な発見です。
1987年頃から現在までに全国1,500箇所以上に設置されており、自動車盗難のほか、殺人や強盗などの凶悪犯罪解決にも活用されています。2018年に登場した可搬式Nシステムは移設可能なため、従来のNシステムではカバーしきれなかった細い道でも情報も得られるようになり、より緻密な車両捜索と摘発が可能になりました。また、路上設置式よりも素早く情報照会が行えるため、無車検車の取り締まりにおいても効果を発揮しています。
2.Nシステムでの車検切れ検知のやり方
路上に固定設置されたNシステムはカメラ撮影による情報収集にのみ用いられるため、即日検挙とはなりません。しかし、可搬式Nシステムはスピード違反を取り締まるネズミ捕りのように、その場で検挙することが可能です。可搬式Nシステムによって車検切れ車両が検挙されるまでの流れを解説します。
Nシステムで車検切れ車両を把握
可搬式Nシステムによってナンバーが読み取られると、自動車登録情報などを管理しているMOTAS(自動車登録検査業務電子情報処理システム)で即時照会され、無車検かどうか瞬時に判明します。
監査場所で車両を停止
可搬式Nシステムが設置された場所の先に配備された警察官が停車を要請、道路脇などに誘導し、取り締まりが行われます。
取り締まり
無車検運行の違反点数は6点です。無車検で検挙されると通称「赤キップ」と呼ばれる「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」が交付され、それ以前に違反などがなくとも一発免許停止となります。加えて刑事罰として6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。車検と自賠責保険の両方が切れていた場合は違反点数6点に加え、最低でも90日以上の免停となり、そのうえで1年6ヵ月以下の懲役または80万円以下の罰金が科せられます。
検挙された後の対処
無車検運行で免停になっても、警察署や免許センターへ出頭するまでの運転免許は有効です。しかし、車検切れとなった車は運行が認められないため積載車で車を運搬してもらう必要があります。車検切れの車は公道にタイヤを接地すること自体が認められないため、他の車による牽引では移動させられない点にも注意しましょう。
3.Nシステムの設定場所
Nシステムが設置されるのは、主に交通量が多い道や犯罪が起こりやすい場所、犯罪後の逃走に利用されやすい経路です。具体的には、幹線道路上の県や市の境界付近、高速道路及びインターチェンジの出入り口、空港周辺、政府・自治体施設周辺などに多く配置されています。
可搬式Nシステムは場所を問わず設置できるものの、違反車両を誘導して停車できるスペースが必須であることから設置場所は限定されます。ネズミ捕りや検問がよく行われる場所は設置場所としても適しているため、同じ場所が速度取り締まりと無車検取り締まりの両方に使われる場合もあります。
4.Nシステムに関する質問
Nシステムと同じくカメラを用いた取り締まりとしては、速度違反を検知する「オービス」があります。これらを走行中に見分けるのは難しく、中にはオービスとNシステムを混同している人もいるようです。ここでは、そうしたNシステムに関するさまざまな質問をご紹介します。
Q.バイクのナンバープレートは検知できない?
多くのNシステムは基本的に設置場所に向かって進行していく車を撮影するため、前側のナンバープレートしか撮影できません。そのため、前方にナンバープレートが付いていないバイクはナンバーの読み取りが不可能と思われがちですが、現在は通過後の車両を後ろから撮影するNシステムも存在するため、バイクであっても監視から逃れることはできません。
Q.Nシステムとオービスの違いは?
Nシステムと速度超過車両を撮影するオービスは、外観・機能共によく似ています。しかし、オービスはあくまで速度超過の車にしか反応しません。逆にNシステムで速度超過を取り締まることはできませんので、Nシステムをオービスと勘違いし急ブレーキなどを踏まないように注意しましょう。オービスの手前には警告看板が設置されているのに対し、Nシステムでは事前通告がないのも特徴です。
Q.Nシステムはレーダー探知機に反応する?
対応するレーダー探知機を用いれば、Nシステムの設置場所を把握することができます。多くのレーダー探知機はNシステムが発する特殊な信号を受信でき、探知機が搭載するGPSでも位置情報が記録されます。
可搬式Nシステムは固定の設置場所がないため、検知できない場合がある点には注意しましょう。稼働していないNシステムにはレーダー探知機も反応しません。
Q.ナンバーを隠すとどうなる?
Nシステムで読み取られないようにナンバープレートにカバーや加工を施す行為は違法です。過去にはNシステムやオービスによるナンバー撮影を妨げる赤外線反射カバーなどが販売されていましたが、現在はナンバーの隠蔽を意図していなくても罰せられるため注意しましょう。
仮にナンバープレートの改造が発覚した場合は50万円以下の罰金刑が科されます。偽造ナンバーなどの悪質な行為は3年以下の懲役または100万円以下の罰金刑です。
5.まとめ
日本国内の道路はほぼ全域にわたってNシステムの監視下にあるといっても良いでしょう。また、国土交通省では「無車検車・無保険車通報窓口」を設置しており、人の目による監視もあります。
車検の目的は法的な車両運行許可というだけではなく、定期メンテナンスの意味合いもあります。車検の金銭的負担は大きいですが、車検費用を安く抑える方法はあります。また、時間がなくとも1時間程度でしっかりと整備してくれる車検業者も多数存在します。車検を依頼する際に「車検が切れている」と伝えれば、車を運搬するための積載車を用意してもらえたり、仮ナンバーの取得方法などをしっかり教えてもらえたりすることもあるため、無車検車でも移動の心配をする必要はありません。
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