車検に通るタイヤの基準とは?検査合格やはみ出しの基準を解説
車検時に見落としがちなのがタイヤの状態です。摩耗や劣化が著しいタイヤは車検に通りません。また、標準タイヤと異なるサイズの場合も不合格になる可能性があります。特にタイヤがはみ出している状態では、車検に通らないばかりか整備不良や不正改造として処罰される恐れがあります。
本記事では、はみ出しタイヤに関する車検の合格基準を解説するとともに、保安基準改正前後での基準の違い、車検前に確認しておきたいタイヤの状態をご紹介します。
1.はみ出しタイヤとは?
「はみ出しタイヤ」とはその名の通り車体側面からはみ出したタイヤであり、正確にはタイヤを覆うフェンダー面からはみ出したタイヤのことをいいます。
タイヤとフェンダー面との段差を少なくするツライチチューニングはドレスアップカーやカスタムカーなどでよく見られますが、過度なツライチセッティングによりタイヤおよびホイールがはみ出している状態では車検に通りません。
また、意図せずはみ出しタイヤになっている場合もあります。新車購入時は適切なサイズが装着されていても、車に対して適切でないホイールに交換するとタイヤがはみ出す恐れがあります。中古車で購入した場合も、適切でないタイヤが装着されタイヤがはみ出た状態になっている場合があるため注意しましょう。
2.はみ出しタイヤは車検で厳しく検査される
車にとって、タイヤは最も重要な部品といえます。そのぶんチェックも厳しく、検査官に危険と判断された場合は車検不合格とされてしまいます。また、車検に通らないだけでなく、はみ出しタイヤは整備不良や不正改造として警察の検挙対象となる点にも注意が必要です。
はみ出しタイヤだと、なぜ車検に通らないのでしょうか。
はみ出しタイヤがNGな理由
高速回転をしているタイヤが車体からはみ出していると、他の車と接触した際に車体を弾き飛ばしてしまう恐れがあります。タイヤが露出したF-1マシンなどの接触事故でたびたび車体が空中を舞うのは、タイヤ同士が接触した際の運動エネルギーによるものです。また、公道を走行する一般車両の場合、歩行者や落下物と接触すると、はみ出したタイヤによって巻き込む恐れもあります
このように、タイヤがはみ出すことによって事故の被害が拡大したり、車の機能に障害をもたらしたりする場合があるため、車検の規定である道路運送車両の保安基準には、車における回転部分の突出禁止規定が設けられているのです。
速度表示に誤差が発生する
標準サイズよりも幅の広いタイヤを好んで装着するはみ出しタイヤのように、タイヤサイズの変更によって幅が変わると、タイヤの外径も変わり、実際の速度とメーターが表示する速度に誤差が生じる場合があります。タイヤの外径が標準タイヤサイズより大きいと実際の速度に対してメーターの車速が低く表示され、反対にタイヤ外径が小さいとメーターの車速は高く表示されてしまいます。車検では、40km/hで走行時に、実際の車速とメーター速度に規定以上の誤差があった場合には不合格となります。
2006年12月31日以前に製造された車は、メーターで40km/hを表示している状態で実際の車速が30.9〜44.4km/hの範囲に収まっている必要があります。2007年1月1日以降に製造された車の場合は、30.9〜42.55km/hの範囲内で合格です。標準タイヤサイズと異なるタイヤを装着する場合は、40km/h時におおよそ±10km/hの範囲内に収まる外径のタイヤを装着する必要があります。
安全性の確保ができない
標準サイズよりも幅が広いタイヤや外径が大きいタイヤを装着すると、段差を乗り越えた際やハンドルを切った際に車体とタイヤが接触する可能性が高まります。場合によっては車体との接触がパンクの原因になることもあります。
また、幅が狭いタイヤや外径が小さいタイヤでは、最低地上高が低くなることによって路面と車体が接触しやすくなるだけでなく、十分な耐荷重が確保できず、走行中にタイヤが損傷したり破裂する恐れがあります。さらに、タイヤの状態は燃費性能にも影響します。車ごとに適正サイズのタイヤおよびホイールを装着するようにしましょう。
3.はみ出しタイヤとなる基準
はみ出しタイヤに該当するのは一体どのような状態の時なのでしょうか。はみ出しタイヤの細かな基準を見ていきましょう。
タイヤの保安基準の改正内容
2017年の保安基準改正以前は、フェンダー垂直面からタイヤ、ホイール、ホイールキャップ、ホイールナットなどのはみ出しが一切認められていませんでした。2017年の法改正以降は、10mm未満であればタイヤのはみ出しが認められるようになりました。ただし、はみ出しが認められるようになったのはタイヤのみであり、ホイールやホイールキャップ、ホイールナットなどのはみ出しは継続して認められていません。
はみ出しタイヤの範囲
はみ出しタイヤとされるのは、ホイール軸中心の鉛直上、前側30°・後側50°の規定範囲内において、フェンダーの鉛直面からタイヤが10mm以上もしくは、ホイールやホイールキャップ、ホイールナットが鉛直面からわずかでもはみ出している状態です。言い換えれば、確認される規定範囲内の箇所において規定以上にタイヤやホイールがはみ出していなければ、タイヤ下側を含む規定範囲以外の箇所はどれだけはみ出ても構わないということになります。
ただし、はみ出しタイヤであるかどうかは検査官の主観も交えて判断されます。安全性に問題があるようであれば、タイヤやホイールがはみ出ていなくても車検は不合格になる場合があります。
4.車検に合格するのはラベリングのはみ出しのみ
2017年のはみ出しタイヤに関する保安基準の改正は、はみ出しタイヤを助長するものではなく、あくまで国際基準に準じた規定への変更が目的です。海外と日本では保安基準細部の内容が異なり、これまでタイヤがはみ出し気味だった輸入車は、わざわざフェンダーモールを貼り付けなければ日本の保安基準に適合させることができませんでした。
2017年の法改正はこの問題を解消するための手段であり、実質的にはみ出しが認められるのはタイヤ側面のラベリングのみです。タイヤのサイドウォールに記載されたタイヤサイズやメーカー名、銘柄などの表記、リムガードと呼ばれるホイールを保護するために設けられたタイヤの突起や、サイドブロックと呼ばれるオフロードタイヤのサイドウォール突起などがラベリングに該当します。そのため、はみ出しタイヤに関する規定は実際には保安基準改正前とほとんど変わっていません。
5.はみ出し以外にもタイヤは厳しく検査される
車検時にチェックされるのは、はみ出しタイヤだけではありません。タイヤは車重を支え、車の動きを路面に伝えられる唯一の部品です。そのため車検時は、前述したタイヤサイズによるスピードメーターの誤差に加え、摩耗状態や劣化状態、取り付け状態も厳しく検査されます。
摩耗状態は、タイヤ交換を促すスリップサインが出ている状態では車検に通りません。正確には、タイヤの溝の深さが1.6mm以下は不合格となります。なお、タイヤの経年劣化によって起こるひび割れや傷はパンクや破裂につながるため、古くなったタイヤや傷んだタイヤは車検前に交換しなくてはなりません。タイヤの食いつき具合や摩耗速度に影響するスリップサインも車検の点検項目です。
車検時に気を付けておきたいタイヤの溝などの状態については、以下の記事でより詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
「車検に合格するタイヤの溝の深さは?計測方法や摩耗を防ぐコツを解説」
6.まとめ
車検時にはタイヤの状態が厳密にチェックされます。自分で選んでタイヤやホイールを交換した場合は自分でそれを覚えておけば良いですが、中古車を購入した際に不適合なタイヤに気付かず、そのまま車検に出して不合格になってしまうようなケースもあるようです。
車検時期が差し迫った状態で車検に通らない事態に陥ると、慌てて代わりのタイヤを購入しなくてはならず、納得いかないタイヤに高額な費用を支払うことにもなりかねません。車検のおおよそ2~3ヵ月前を目安に車検の見積りを取り、そのタイミングでタイヤの状態も確認しておけば、こういったトラブルは避けることができます。
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