車検前にチャイルドシートやベビーカーの取り外しは必要?
車検の際、検査に合わせて車内の清掃を行う車検業者も多くあります。そんなときに気になるのが、チャイルドシートは外すべきかどうか、つけっぱなしにすることで車検に悪影響がないかどうかでしょう。実はチャイルドシートは、車内に取り付けたままでも車検を受けることができます。
本記事では、車検時のチャイルドシートの取り外しの必要性について、また、チャイルドシート以外に積んである荷物は降ろすべきなのかを解説します。
1.チャイルドシートとは?
チャイルドシートとは、運転中に小さい子どもをしっかり座席に固定するための装置の総称です。主に、乳児用のベビーシート(新生児から1歳頃までが対象)、幼児用のチャイルドシート(1歳頃から4歳頃までが対象)、学童用のジュニアシート(4歳から10歳頃までが対象)の3タイプに分かれています。また、製品によってはベビーシートとチャイルドシートが兼用のもの、またチャイルドシートとジュニアシートが兼用のものもあります。
チャイルドシートを付ける目的
チャイルドシートは、シートベルトを正しく装着することができない、体格の小さい子どもを車に乗せるのに必要となります。シートベルトを正しく装着することができない状態で事故が起きてしまうと子どもの安全性が確保できなくなってしまい、大怪我につながってしまう恐れがあります。
チャイルドシートを使用することでシートベルト本来の安全性が発揮できるようになります。警察庁が発表した「チャイルドシート使用有無別交通事故関連統計(平成26年中)」(※1)によると、チャイルドシート未使用者が同乗中に事故が起きてしまった場合の死亡重傷率は、適正な使用者の約2.1倍になるとされています。
一方で、チャイルドシートは適切に装着及び使用しないと十分な効果を発揮することができず、事故時の死亡率、重傷率が逆に上がってしまう場合もあります。警察庁発表のデータによると、チャイルドシートの不適切な使用者の事故が起きた際の死亡重傷率は適正な使用者の約6.0倍(※2)となっています。このことから、チャイルドシートは装着したから大丈夫というわけではなく、適切な取り付け、使用をすることで初めて効果を発揮することがわかります。
また、チャイルドシートは体格によって適切なものを選ぶ必要があります。ベビーシート、チャイルドシート、ジュニアシートそれぞれに参考年齢がありますが、年齢よりも子どもの体格に合わせて選ぶことが重要です。年齢に合わせて選んでしまうと、実際に許容できる身長や体重を超える、または下回る場合があります。ベビーシートは体重10kg未満・身長70cmセンチ以下、チャイルドシートは9kg〜18kg・身長65cm〜100cm、ジュニアシートは15kg〜36kg・身長135cm以下が使い分けの目安(※3)となっています。
- (※1,2)
- 平成29年度チャイルドシートアセスメント | 自動車総合安全情報
最新試験結果PDF2ページ目より
- (※3)
- 平成29年度チャイルドシートアセスメント | 自動車総合安全情報
最新試験結果PDF23ページ目より
チャイルドシート使用の義務
車を運転する際、6歳未満の子どもを乗せる場合はチャイルドシートを装着しなければならない義務があります。これは、道路交通法第71条の3第3項で定められています。違反した場合は、違反点数1点が加算されます。
チャイルドシートは交通事故の被害から幼児を守ります。幼児を自動車に乗せて運転する時は必ずチャイルドシートを使用しましょう。自動車の運転者は、チャイルドシートを使用しない6歳未満の幼児を乗せて、
運転してはならないことが決められています(道路交通法第71条の3第3項)。
また、車のシートベルトは、身長が140cm以上を想定して作られています。6歳以上となりチャイルドシートの使用義務がなくなったとしても、身長が140cmを満たしていない場合は、安全性を考慮してチャイルドシートを使用したほうが良いでしょう。
2.チャイルドシートは車検の検査項目にある?
車検とは、車が国の定める保安基準を満たしているかどうかをチェックする検査です。基準を満たしていない場合、その部分を整備し保安基準に適合するようにしなくてはなりません。検査では、下記などが検査されます。
- 自動車検査証(車検証)と車体が一致しているか
- 外装の点検(ライト類の点灯・点滅、クラクション、ワイパーの作動など)
- エンジンルームの点検
- ヘッドライトの点検(光軸、光量など)
- 排出ガスの点検(CO、HC、NOxの濃度)
- サイドスリップテスト(車がまっすぐ走れているかの点検)
- ブレーキの点検(パッド、ローターの残量、ブレーキの効き具合)
- スピードメーターの点検(実際の速度とメーターに表示されている速度が一致しているか)
- 下回りの点検(各部ネジ類の緩み、消耗品の点検)
- 内装の点検(シートベルトの作動、チェックランプ類の確認)
車検はあくまで車の点検や整備を行うものですので、チャイルドシートに関する項目はありません。
車検内容や24ヵ月点検について、詳しくは以下の記事で解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
「法定24ヵ月点検とは?車検との違いや検査56項目一覧、費用目安を解説」
3.車検前にチャイルドシートの取り外しは必要?
車検時にチャイルドシートは外すべきかどうか、実際に見ていきましょう。
取り外さなくてもOK
チャイルドシートは車の安定的な走行や機能的な部分に影響するものではなく、車検の項目にも該当していません。したがって、取り外さないまま車検に車を出しても、何ら問題はありません。
重量税は変更なし
車検を受ける際には、同時に自動車重量税を納付しなければなりません。その際、チャイルドシートを乗せているせいで車重が重くなってしまい、自動車重量税が高くなってしまうのではないかと考える方もいるかもしれません。しかし、自動車重量税は車検証に記載されている車の重量によって判断されるため、チャイルドシートを装着したままでも影響はありません。
代車を借りるなら取り外す必要あり
車検業者から提供される代車には、基本的にチャイルドシートは装着されていません。代車に子どもを乗せる可能性がある場合は、普段使用しているチャイルドシートを外して使用しましょう。
4.ベビーカーは降ろしておくべき?
チャイルドシートと同様、ベビーカーなどの荷物も車に乗せたままでも車検を受けることはできます。しかし、ベビーカーや他の荷物を車の中に積んだままにしていたために車検中の揺れなどで破損が起きたり、何らかの理由で紛失したりしてしまう可能性も考えられます。
また、比較的重いものを積んだままにしておくと、重さによって車高が変わってしまったり、トランク側が重みで沈んでしまうことでヘッドライトの光軸が上がったりして不合格となる恐れがあります。したがって、重量のある荷物はできる限り降ろしておいたほうが良いでしょう。
詳しくは以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。
「車検のときは荷物を降ろすの?審査への影響などリスクを徹底解説」
5.チャイルドシートを付けたまま車検に出すときの注意点
チャイルドシートを付けたまま車を車検に出した場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。考えられるのは以下の2点です。
汚れる可能性もある
車検時に多少の荷物などが乗っている場合、整備中の汚損防止のために整備士が荷物を車外に出して作業する場合が多いですが、チャイルドシートは装着したまま作業する場合が多いようです。その理由は、整備士がチャイルドシートの脱着を行い、万が一装着に不備があった際、それが原因でチャイルドシートに乗せている子どもに怪我などを負わせてしまうリスクがあるためです。
いっぽう、車検時には整備士が車内に入って検査を行うこともあります。整備士が車内に入る際には細心の注意を払いますが、何かの拍子で汚れが付着してしまう可能性もゼロではありません。チャイルドシートを汚されるのが嫌な場合は、事前にチャイルドシートを取り外しておいたほうが良いでしょう。
清掃サービスを十分に受けられない可能性もある
車検に預けた際は、最後に洗車、室内清掃を行う場合があります。しかし、チャイルドシートの脱着によるリスクを避けるため、室内清掃はチャイルドシートを付けたまま行われることがほとんどです。そのため、十分な室内清掃が受けられない可能性があります。
また、チャイルドシート以外の荷物も、破損や汚損のリスクを避けるために動かさずに掃除をする、また物が多い場合は室内清掃自体を行わない場合もあります。
6.まとめ
チャイルドシートは、装着したままでも車検に出すことができます。しかし、装着したままだとチャイルドシートが汚損してしまったり、車検整備に支障をきたしたり、十分なサービスを受けられない可能性もあります。代車の使用中に必要になることも考えられますので、車検の際にはチャイルドシートを取り外しておいたほうが良いでしょう。
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