車検時に車庫証明は基本的に不要。必要な場合についても解説
車検時には車庫証明書を用意する必要はありませんが、車検と同時に車検証の住所変更を行う場合は必要です。
ここでは、車庫証明の取得手続きや、車検証の住所変更の具体的な流れを解説します。
1.車庫証明とは?
車庫証明の正式名称は「自動車保管場所証明書」といいます。自動車の保管場所があることを証明する書類です。自動車を保有する場合は車庫証明の発行が必須であり、下記3つの条件を満たす必要があります。
- 使用本拠地から直線距離で2km以内に保管場所があること
- 保管場所が自動車全体を収容できる広さであること
- 自動車の保有者が、保管場所を使用する権利を持っていること
軽自動車の場合は、基本的に車庫証明を取得する必要はありません。ただし、県庁所在地の市や人口10万人以上の市、東京や大阪の中心から30km圏内に車を保管する場合は申請が必要です。申請要否は状況によって変わるため、全国軽自動車協会連合会のホームページで事前に確認しておきましょう。
2.車検に車庫証明は必要?
車検を受ける際、場合によっては車庫証明の提出が求められます。提出が必要なケースを確認していきましょう。
基本的には不要
基本的に、車検時に車庫証明を用意する必要はありません。車検は下記の3つの書類があれば受けることができます。
- 自動車検査証(車検証)
- 自動車損害賠償責任保険証明書
- 自動車税納税証明書
自動車検査証(車検証)
自動車検査証(車検証)とは、安全確保や環境面を考慮して定められた「自動車保安基準」を満たしていることを証明する書類です。
自動車損害賠償責任保険証明書
自動車損害賠償責任保険証明書は、自賠責保険に加入していることの証明書となります。車を保有する方は自賠責保険への加入が義務付けられているため、車を持つすべての方がこの証明書を持っていることになります。
自動車税納税証明書
自動車税納税証明書は、自動車税を納税したことを証明する書類です。オンラインで納税を確認できる場合は車検時に必要ありません。ただし、軽自動車や自動二輪車の場合は納税証明書が必要になるため注意しましょう。
以下の記事では車検時の必要書類について詳しく解説しています。併せてご覧ください。
「車検の必要書類や基本的な持ち物は5つ。準備はお早めに!」
車検と同時に車検証の住所変更を行う際は必要
基本的に車庫証明は必要ありませんが、車検と同時に車検証の住所を変更する場合は必要になります。このときには新住所が記載された車庫証明が必要なため、住所が変わったら速やかに手続きを行うことが大切です。
3.車庫証明の取得手続き
車検証の住所を変更する際に必要な「車庫証明」の取得手続きに関して、流れを確認しておきましょう。
申請書類の入手
車庫証明を取得するために必要な申請書類を用意しましょう。
申請書類は、自動車の保管場所を管轄する警察署で入手できます。申請書類は下記の5つがあり、状況に応じて必要な書類が異なります。
- 自動車保管場所証明申請書(保管場所標章交付申請書)
- 保管場所の所在図・配置図
- 保管場所使用権原疎明書面(自認書)
- 保管場所使用承諾証明書
- 使用者の住所を確認できるもの(運転免許証等)
自分が保有する土地や建物を使用する場合は、保管場所使用承諾証明書は不要です。一方、月極駐車場等を借りる場合は、保管場所使用権原疎明書面は用意しなくても構いませんが、保管場所使用承諾証明書が必要となります。保管場所使用承諾証明書が手元にない場合は、下記3点のうちいずれかの書類で代用できます。
- 駐車場の賃貸借契約書の写し
- 駐車場使用料金の領収書
- 都市基盤整備公団等の公的法人が発行する確認証明書
本人以外が申請する際、使用者の住所を確認できる書類のコピーが必要です。また警察署によっては申請書類をダウンロードできる場合があるため、ホームページで確認しておくと良いでしょう。
必要書類を作成し警察に申請
申請書類を入手したら、それぞれの書類に必要事項を記入します。申請書類の具体的な書き方は以下のとおりです。
自動車保管場所証明申請書の書き方
自動車保管場所証明申請書に記入する項目は、車のメーカー名や型式、車台番号や大きさ等です。このほか、使用者の住所や車庫として使用する住所を記入します。
保管場所の所在図・配置図の書き方
保管場所の配置図は全員が準備すべき書類です。下記3点を満たす方は所在図の用意は不要です。
➀買替えなどによる自動車の入替え②使用者の住所と車庫に変更がない
➂申請時点で前回の自動車を保有している
自宅と保管場所、周囲にある建物や道路を所在図に記入します。次に自宅と保管場所を直線で結び、直線距離を記載しましょう。ただし、自宅に駐車場がある場合は直線距離の記入は必要ありません。「地図を手書きするのが面倒だ」と感じる場合はインターネットから入手した地図を印刷し、書類に貼り付けてもOKです。
配置図は保管場所や周囲の建物、道路を記入する書類です。保管場所を中心にして周りの建物や道路を記入し、道路幅や駐車場の出入口寸法を「m」単位で表示します。保管場所の内側に斜線を引き、自宅保管であれば「車庫」、駐車場を借りている場合は「保管場所」と記入したうえで、駐車場の名前と番号を明記したら完成です。
保管場所使用権原疎明書面(自認書)の書き方
保管場所使用権原疎明書面とは、自分が所有している土地を自動車の保管場所として使用する際に申請する書類です。書類には、申請先の警察署名や申請日、住所などを記入します。
保管場所使用承諾証明書の書き方
保管場所使用承諾証明書は、自分が所有していない土地を保管場所として使用する際に必要な書類で、保管場所や使用者情報を記入します。保管場所の土地所有者本人が住所や氏名を記入する必要があるため、あらかじめ土地所有者に依頼しておくと良いでしょう。
警察署に申請
必要書類が作成できたら、保管場所を管轄している警察署に申請します。警察署の受付時間は基本的に平日9時頃から16時半頃までです。都道府県によって時間帯が異なったり昼休みがあったりするので、受付時間を事前に確認しておきましょう。なお、土曜日や日曜日、休日や年末年始は受付していません。
申請が完了すると「納入通知書兼領収書」が発行されます。後日、車庫証明を受け取る際に提示する必要がありますので、大切に保管しましょう。
交付されたら再度警察へ行き、受け取り
申請から3~7日程度経ったら車庫証明が交付されますので、再び警察署へ行き、納入通知書兼領収書を提示します。警察署から受領するものは下記3つです。
- 自動車保管場所証明書(車庫証明書)
- 保管場所標章番号通知書
- 保管場所標章
車庫証明書は、車検業者を経由して運輸支局へ提出するのが一般的です。保管場所標章番号通知書は車検証と一緒に保管し、車のリアガラスに保管場所標章を貼り付けましょう。
申請手数料等の支払い
車庫証明の手続きでは、申請時と標章交付時に手数料がかかります。警察署に申請する際に現金または収入証紙による支払いが必要となり、金額は2,500円~2,800円程度です。ただし、都道府県によって申請手数料は異なります。また、標章交付手数料も都道府県によって異なりますが500~600円程度で、収入証紙を購入して支払うケースもあります。
4.車検証の住所変更を行う流れ
次に、車検証の住所変更を行う際の流れを確認しておきましょう。
住所変更の必要書類を用意
普通自動車の使用者と所有者が同じ場合、住所変更に必要な書類は以下のとおりです。
- 自動車保管場所証明書(車庫証明書)
- 自動車検査証(車検証)
- 住民票
- 手数料納付書
- 自動車税(環境性能割・種別割)申告書
車庫証明書は1ヵ月以内、住民票は3ヵ月以内に発行しなければ、有効な書類として扱われません。何度も住所が変わっているにも関わらず住所変更が未申請の場合は、住民票だけではなく「除票」や「附票」が必要です。これは、車の所有者の住所情報を正しく把握するためです。2回以上住所が変わっている方は、直前に住んでいた自治体で住民基本台帳から除かれた「除票」を発行します。3回以上住所が変わっている方は本籍地で、住所の移転が記録されている「附票」を発行しましょう。
軽自動車の場合は普通自動車とは異なり、必要な書類は下記4点です。
- 自動車検査証(車検証)
- 住民票または印鑑登録証明書(コピー可)
- 自動車検査証記入申請書(軽第1号様式)
- 軽自動車税(種別割)申告書
自動車の使用者が所有者と異なる場合は委任状が必要になります。 詳しくは以下の記事で解説しています。
車検証の住所変更をしないとどうなる?必要性ややり方を解説
新しい住所地の運輸支局で住所変更の申請
必要書類が用意できたら、住所変更を申請します。住所が変わってから15日以内が申請期限の目安です。
普通自動車の場合、新しい住所の運輸支局で車検証の住所変更を申請します。運輸支局で住所変更の申請書を渡されるので、必要事項を記入しましょう。住所変更後も管轄の運輸支局が同じであれば、必要書類の提出だけで手続きは完了します。
住所変更にともなって管轄の運輸支局に変更がある場合は、運輸支局に自動車の持ち込みが必要となります。管轄の運輸支局は国土交通省のホームページから調べられるため、事前に確認しておきましょう。
一方、軽自動車の手続きは軽自動車検査協会で行います。普通自動車の場合と申請場所が異なりますが、基本的な流れは同じです。
新しい車検証を受け取り自動車税務署に申告
申告手続きが終わったら、新しい車検証を受け取ります。車検証を受け取ったあと、住所変更を自動車税事務所に申請することを忘れないようにしましょう。申請の際は、受け取った車検証と自動車税(環境性能割・種別割)申告書が必要となります。
手数料等の支払い
住所変更の登録手数料として、350円分の印紙購入が必要です。住所変更後に管轄が変わる場合はさらに手数料がかかります。これは、新しいナンバープレートを発行し取り替える必要があるためです。ナンバープレートの発行手数料は都道府県によって異なり、1,500~1,900円程度かかります。
5.引っ越しをした際は速やかに変更を届け出ましょう
引っ越しをしたら、車検証や車庫証明書の住所変更を速やかに行うことをおすすめします。変更を怠った場合、下記のような問題が発生します。
- 自動車税の通知が届かなくなる
- 自賠責保険が適用されない場合がある
- 法律違反で罰金が科せられる可能性がある
自動車税の通知は車検証に記載されている住所に送られるため、手続きしなければ新住所に通知が届きません。自動車税の通知が届かず納税が遅れてしまうと延滞金が発生するため注意が必要です。事故が起きた際に自賠責保険が適用されず、高額な賠償金を支払うケースも考えられます。
6.まとめ
車検証の住所変更は15日以内に申請するルールが道路運送車両法で定められています。法律違反が認められると50万円以下の罰金が科せられるため、引っ越し後は早めに住所変更の手続きをしましょう。
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