エアコンの故障は車検に影響する?故障の原因や交換費用について解説
エアコンの故障は車検の検査項目に含まれておらず、合否には影響しません。仮にエアコンが壊れていたとしても、検査項目の内容が正常であれば問題なく車検に合格できます。
とはいえ、エアコンが壊れた状態で車を運転するのは辛いものです。エアコンの故障原因によっては放置するとエンジンの不調を招くなど、さらなるトラブルを巻き起こす可能性もあります。
本記事では、エアコンと車検の関係、車のエアコンが壊れる原因、原因別のパーツ交換費用の相場や、できるだけエアコンを長持ちさせる方法を解説します。
1.エアコンの故障は車検に影響する?
車検で検査される項目は以下のとおりです。
- 同一性の確認
- 外廻り検査
- サイドスリップ検査
- ブレーキ検査
- スピードメータ検査
- ヘッドライト検査
- 排気ガス検査
- 下廻り検査
これらは主に車の安全な走行にまつわる確認で、エアコンは含まれていません。たとえエアコンが壊れていても、車検にはそのまま合格できます。
ただし例外として、エアコンの故障に付随してエンジンなど他の部分にも異常がある場合は車検に通らない可能性があります。まずはエアコンによくある故障原因から見ていきましょう。
2.車のエアコンが故障する原因
エアコンの効きが悪い・異臭がする・そもそも作動しないなど、故障が疑われる場合、主に以下の7つの原因が考えられます。
エアコンフィルターの詰まり
どの車でも自然に発生するのがエアコンフィルターの詰まりです。エアコンフィルターは、外部から車内に空気を取り入れる際に、有害物質(ホコリ・花粉・黄砂・PM2.5など)を取り除く役割を担っています。エアコンフィルターが詰まると、有害物質を上手に取り除けなくなり、車の空気の流れが滞ってしまいます。結果、異臭がしたり、エアコンが効きにくいと感じたりといったトラブルにつながりやすくなります。
車のエアコンフィルターの交換時期
車のエアコンフィルターは交換を前提としたパーツで、交換時期は「走行距離が1万kmに到達した頃」が一般的な目安とされています。なお、車検時にエアコンフィルターが汚れていると、整備士から交換を提案してもらえることもあります。エアコンに本来の性能を発揮してもらうためにも定期的に交換しておくと安心です。
エアコンガスのトラブル
冷房の効きが悪い場合に疑われるのが、エアコンガスの漏れや不足のトラブルです。エアコンガスは車内を冷やすための冷媒で、車のエアコンはガスが液体から気体になる際の化学現象を活用して冷たい空気を生み出しています。いわゆる「気化熱」や「蒸発熱」と呼ばれる仕組みです。
車のエアコンの場合、エアコンガスが液体→気体→液体→気体…と状態変化を繰り返し循環するシステムを採用しているため、本来は冷房をつけてもガスの容量は減りません。しかし、運転中の振動によるパーツ同士のズレや配管の異常により、ガスの量が減ってしまうことがあります。そうすると冷却性能が低下するため、補充しないといけません。
コンプレッサーの故障
コンプレッサーは、気体のエアコンガスに強力な圧力をかけ、気圧の変化によって強制的に液体に状態変化させる役割を持ちます。英語で書くと「compressor」、意味はそのまま「圧縮機」です。コンプレッサーが壊れてしまえばエアコンガスを液体にできず、車の冷房システムが働きません。エアコンガスの不足と同様に、冷房が効かない際にありがちなトラブルです。
ファンモーターの故障
異音やエアコンの風が出てこない不具合がある場合、ファンモーターの故障の可能性があります。ファンモーターとは、空気の流れを作るための部品「ブロアファン」を動かすためのモーターです。「ブロアファンモーター」とも呼ばれます。ファンモーターが故障するとスムーズに風を出せなくなり、送風口に手を当てても空気の流れを感じない、風は出ているが異音がする、といったトラブルが引き起こされます。
冷却水の不足
暖房がうまく働かない場合に注意したいのが、冷却水(クーラント液)の不足です。車のエアコンの暖房は、冷却水やクーラント液と呼ばれる水をエンジンの熱で温め、この熱を活用してブロアファンから暖かい空気を送り出しています。しかし、冷却水が不足すると暖房が効きにくくなるだけではなく、エンジンの温度を適切に下げられずオーバーヒートしてしまう可能性もあります。車検の依頼時に「冷却水が少なくなっている」「濁っている」などの異常が見つかった場合、エアコンフィルターの例と同様に早期交換を提案してもらえることもあります。
サーモスタットの故障
同じく暖房が効きにくい場合の原因として疑われるのが、サーモスタットの故障です。サーモスタットは冷却水の動きを操作するパーツです。冷却水の温度が上がれば弁を開き、温度が下がれば弁を閉めて水流を操作し、エンジンの温度調節を担っています。サーモスタットが故障すると弁をうまく閉じられず、冷却水の温度を上げられません。結果、特にエンジンがそれほど暖まっていないタイミングにおいて暖かい風が出にくくなります。
サーミスタの故障
サーミスタは温度測定をするセンサーです。厳密には、熱を感知すると電気抵抗が変化する物質のことで、抵抗の変化により温度を測定しています。非常に小さく衝撃や振動にも強いのが特徴で、車にも採用されています。しかしそれでも時には故障してしまうケースがあり、確認は欠かさずに行うべきです。
サーミスタの故障時は、温度測定ができなくなるため大変です。暑いのに冷房が出ない、寒いのに暖房が出ない、液晶の温度表示が狂うなど、さまざまなトラブルに見舞われます。
3.エアコンの交換にかかる費用や時間
エアコンの故障にはさまざまな原因が考えられます。各パーツに対する専門的な知見が求められるため、個人で完全に原因を把握するのは難しいかもしれません。
では、エアコンの各種パーツの交換にかかる費用と時間はどのくらいなのでしょうか? 車種や修理業者にも大きく左右されるものの、一般的な費用相場はおおよそ以下のとおりです。
【エアコンのパーツ交換や修理にかかる費用の相場】
| 故障名 | 費用相場 |
|---|---|
| エアコンフィルターの交換 | 3,000円~7,000円 |
| エアコンガスのトラブル | 補充のみ:3,000円~12,000円 漏れの修理:18,000円~ |
| コンプレッサーの故障 | 50,000円~ |
| ファンモーターの故障 | 19,000円~30,000円 |
| 冷却水の不足 | 3,000円~7,000円 |
| サーモスタットの故障 | 4,000円~15,000円 |
| サーミスタの故障 | 8,000円程度 |
3,000円程度で収まる故障から、5万円以上のような高額な費用がかかってしまう故障まであります。また、時間は費用以上に状況次第で変動し、以下のポイントによって左右されます。
- 具体的な交換・修理箇所
- 業者のスピード感
- 繁忙期かどうか
1時間であっという間に終わる場合もあれば、数日車を預けての修理となる場合まであります。まずは希望の修理業者に見積もりを依頼しましょう。
4.車のエアコンを長持ちさせる方法
最後に、車のエアコンを長持ちさせる方法をご紹介します。できるだけエアコンの寿命を延ばしてパーツ交換費用を抑えるためにも、普段から意識しておきましょう。
フィルターを定期的にメンテナンスする
特に重要となるのは、フィルターの定期的なメンテナンスです。交換時期に近づいていなくても、時折自分でフィルターをキレイに手入れして長持ちさせましょう。
車種にもよりますが、エアコンフィルターのメンテナンスは以下の流れで行います。
【車のエアコンフィルターのメンテナンス】
STEP1:エアコンフィルターのカバーを外す(助手席側の収納部分の奥が一般的)
STEP2:ブラシを使ってフィルターをこすり、大きなホコリを取り除く
STEP3:水洗いをする(水洗いOKと判明しているもののみ)
STEP4:十分に乾かしたうえで、元の場所に装着する
ただし、エアコンフィルターは自分で丁寧に洗っていても適切な時期に交換が必要です。ずっと使い続けるためではなく、あくまでも長持ちさせるための方法として挑戦してみてください。
走り出してすぐにはエアコンをつけない
特に夏場に冷房をつける際には、車が走り出した後にすぐにエアコンをONにしないことも大切です。
夏場は車に熱がこもっており、特にエンジンルームは高温です。エンジンルームが高温なときは冷媒であるエアコンガスの体積が膨張しており、パイプなどに圧力がかかっています。この状態でいきなりエアコンをつけると各所に強い負荷がかかり、エアコンガス漏れの原因になることがあります。しばらくの間は冷房を我慢して窓を開けて走行し、十分にエンジンルームの温度が下がったあとにつけると安心です。
駐車の前はエアコンをつけない
駐車の直前はエアコンをつけないことも、エアコンを長持ちさせる秘訣です。冷房の稼働中は「エバポレーター」と呼ばれるパーツに結露が発生しています。エバポレーターは、液体のエアコンガスが気体になり、冷気を作り出している場所です。駐車のギリギリまでエアコンをつけていると、そのエバポレーターに長時間結露が付着したままとなり、サビやカビが発生してしまいます。10分前など少し早めにエアコンを切ることで、適切に結露を取り除けます。
できるだけ定期的にエアコンをつける
エアコンが必要ではない時期もできるだけ定期的に車のエアコンをつけてあげることも重要です。車のエアコンに限らず、電化製品は定期的に利用することで好調を維持できます。これは、バッテリーが完全に放電してしまったり、潤滑油が乾いてしまったりといったトラブルを避けるための対策です。必要のない時期にあえて1ヵ月に1回、10分ほどエアコンをつけるだけでも効果があるといわれています。気付いたときにこまめに動かしておきましょう。
5.まとめ
エアコンが故障していても車検は合格できるものの、快適に運転できる環境でなければ集中力が散漫になり、事故リスクが上がる可能性もあります。また、エアコンの故障原因には冷却水切れのような、大きなトラブルを引き起こすものもあるため注意が必要です。
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