車検は排気量や使用年数によって高くなる?
高くなる理由や安く抑える方法を解説
新車購入時から3年経過すると、1回目の車検のタイミングを迎えます。その後は2年に一度の間隔で車検を受けることになります。使用年数が経っていくと車検費用が高くなると理解している方は多いはずですが、何回目の車検でどれだけ費用が高くなるかを知らないと、損をする場合があります。使用年数によって、税金や交換する部品にも違いがあります。本記事では、排気量や使用年数ごとの車検費用の違いを詳しく解説します。
1.車検費用が高くなる理由
車検費用が高くなる理由は大きく分けて以下の2つです。
- 車の排気量と重量が大きい
- 車の使用年数が13年以上経っている
2.排気量別の車検費用
排気量が大きいと車検費用が高くなると思われがちです。しかし、排気量の大きさが直接車検費用に影響するわけではありません。排気量に比例して高くなるのは自動車税です。
自動車税は地方税法に基づき、車の所有者に対して毎年課税されます。車検の費用には含まれていません。以下の表のとおり、高排気量の車ほど高い自動車税が課せられます。
| 排気量 | 引下げ前の税率 2019年9月30日までに新規登録 |
引下げ後の税率 (引下げ額) 2019年10月1日以降に新規登録 |
|---|---|---|
| 1,000cc以下 | 29,500円 | 25,000円(▲4,500円) |
| 1,000cc超1,500cc以下 | 34,500円 | 30,500円(▲4,000円) |
| 1,500cc超2,000cc以下 | 39,500円 | 36,000円(▲3,500円) |
| 2,000cc超2,500cc以下 | 45,000円 | 43,500円(▲1,500円) |
| 2,500cc超3,000cc以下 | 51,000円 | 50,000円(▲1,000円) |
| 3,000cc超3,500cc以下 | 58,000円 | 57,000円(▲1,000円) |
| 3,500cc超4,000cc以下 | 66,500円 | 65,500円(▲1,000円) |
| 4,000cc超4,500cc以下 | 76,500円 | 75,500円(▲1,000円) |
| 4,500cc超6,000cc以下 | 88,000円 | 87,000円(▲1,000円) |
| 6,000cc超 | 111,000円 | 110,000円(▲1,000円) |
2019年10月1日より新たな税率が適用され、購入した新車は引き下げ後の税率の対象となります。税率引下げ前に購入している車はやや高い自動車税を払い続ける必要があり、長く乗り続けると金額差が大きくなってしまうのです。
3.排気量が大きいと車検費用が高くなる理由
排気量に比例して金額が大きくなるのは自動車税なので、車検費用には直接影響しません。しかし、排気量が大きい車は車検費用がどうしても高くなります。それはなぜなのでしょうか。
排気量と重量は比例しているため
車検時に発生する法定費用のなかには自動車重量税が含まれています。自動車重量税は保有する車の重量によって金額が決められる税金で、自動車が重くなるほど高額になります。軽自動車の場合は重量に関わらず一律料金となっているため、車体サイズが大きくても費用がかさむ心配はありません。普通自動車の重量は排気量に比例しているので、排気量が大きい車は自動車重量税が高くなり、結果として車検費用が高くなります。
大型車の整備費やパーツは高額なため
大型車や排気量が大きな車は使用されるパーツが大きく、部品数も多い場合がほとんどです。ハイクラスの大型高級車になれば最先端技術が取り入れられ、整備士にも高い技術が求められます。そのため点検やパーツの交換に時間がかかり、車検費用が高額になってしまいます。
4.使用年数によっても車検費用は高くなる
長く乗り続けた車は車検費用が高くなると認識している方は多いでしょう。実際、車検費用は使用年数に応じて高くなるので間違いではありません。
しかし、何年目の車検でどのくらいの費用がかかるのかまで理解できている方は多くはないでしょう。使用年数ごとにかかる車検費用を把握しておけば、次の車へ乗り換えるタイミングの目安になるはずです。
新車登録から5年が経過した
新車登録から5年が経過した2回目の車検では、以下の2つの理由により車検費用が高くなる場合があります。
メーカー保証が切れる
新車にはメーカー保証があり、消耗した部品を無料で交換できる期限が決められています。しかし、メーカー保証が切れると消耗部品の交換に費用が発生するため、車検費用が高くなります。
メーカー保証は2種類に分かれており、適用条件や保証内容が異なります。
| 適用条件 | 保証内容 | |
|---|---|---|
| 一般保証 | 新車登録から3年もしくは、走行距離60,000kmのいずれか早いほうまで | エアコン、オーディオ、カーナビなどの付属品 |
| 特別保証 | 新車登録から5年もしくは、走行距離100,000kmのいずれか早いほうまで | エンジン、ステアリング、エアバッグなどの重要な部品 |
このように、新車登録から5年が経過すると特別保証が切れてしまいます。エンジンやステアリングといった重要な部品が摩耗している場合は交換費用が自己負担となり、車検費用が高額になることもあります。
以下の記事では5年目の交換部品を詳しく解説しています。併せてご覧ください。
「5年目の車検の交換部品一覧と車検費用が高い理由を解説」
エコカー減税の対象から外れる
車検時に支払う自動車重量税にはエコカー減税が適用されます。自動車の燃費性能が一定基準を満たしている車はエコカー減税の対象となり、最大で5年目の車検まで減税を受けられます。ただし、エコカー減税の基準は厳しく、電気自動車とごく一部の自動車に限定されるので、車検前に確認しておきましょう。
新車登録から7年が経過した
7年目の車検では走行距離100,000kmを超えている場合があり、重要な部品も経年劣化が進んできます。経年劣化により交換が必要な部品が増えると、部品交換や整備にかかる費用が高くなる可能性があります。
7年目の車検では、以下のような部品を交換する可能性があります。
| 7年目の車検で交換する 可能性がある部品 |
相場費用 |
|---|---|
| エンジンオイル | 4,000円〜10,000円 |
| ブレーキフルード | 5,000円〜10,000円 |
| AT/CVTフルード | 7,000円〜25,000円 |
| ブレーキパッド | 5,000円〜18,000円 |
| ドライブシャフトブーツ | 10,000円〜18,000円 |
| タイミングベルト | 30,000円〜100,000円 |
| バッテリー | 10,000円〜40,000円 |
| タイヤ | 10,000円〜100,000円 |
部品のなかには、交換目安が長めに設定されており、7年目で初めて交換するものもあるでしょう。なお、上記以外にも劣化が進行している部品は交換や修繕が必要になるため、さらに費用が高くなる場合があります。
新車登録から13年が経過した
新車登録から13年が経過すると自動車重量税が増えます。13年目以降も同じ車に乗り続けるよりも、乗り換えを検討するほうがおすすめといえます。さらに、13年乗り続けた車は摩耗している部品が多く、交換や修繕費用が高額になる場合も少なくありません。自動車重量税の増額や交換する可能性が高まる部品、およびその費用を見てみましょう。
自動車重量税の増額
新車登録から13年が経過すると、自動車重量税が増額してしまいます。13年経過による自動車重量税の違いは、以下のとおりです。
| 13年まで | 13年経過 | |
|---|---|---|
| 0.5トン以下 | 8,200円 | 11,400円 |
| 〜1トン | 16,400円 | 22,800円 |
| 〜1.5トン | 24,600円 | 34,200円 |
| 〜2トン | 32,800円 | 45,600円 |
| 〜2.5トン | 41,000円 | 57,000円 |
| 〜3トン | 49,200円 | 68,400円 |
13年を境に大きく増額する自動車重量税は車検費用を圧迫します。車検費用が気になり乗り換えを検討するなら、13年経過して自動車重量税が増額される前がベストなタイミングといえるでしょう。
修理箇所が増え、費用がかかる
13年目に迎える車検は回数にすると6回目となり、走行距離は100,000km~150,000kmといったところでしょう。走行距離が増えると、金額が比較的高い部品が摩耗し、交換の時期を迎えます。交換する可能性が高い部品は以下のとおりです。
| 13年目の車検で交換する可能性がある部品 | 相場費用 |
|---|---|
| ショックアブソーバー | 50,000円〜100,000円 |
| MT車のクラッチ | 50,000円〜100,000円 150,000円〜200,000円(輸入車の場合) |
| ラジエターホース・キャップ | 10,000円〜20,000円(ラジエターホース) 1,500円〜2,000円(キャップ) |
| ブレーキローター | 50,000円〜100,000円 |
| ドライブシャフトブーツ | 10,000円〜18,000円 |
| オルタネーター | 50,000円〜120,000円 |
| タイミングベルト | 30,000円〜100,000円 |
| ウォーターポンプ | 15,000円〜25,000円 |
| タイヤ | 10,000円〜100,000円 |
高額な部品を多数交換する場合は、車検費用がそれだけ高くなります。上記に加えてエンジンオイルやワイパーゴム、ラジエーター液などの劣化しやすい部品も一緒に交換することになるでしょう。交換費用の総額がかなり高くなるのであれば、乗り換えたほうがお得な場合もあります。多くの部品交換が予想される13年目の車検費用を使えば、中古車を購入できることさえあります。まずは見積もりを依頼して正確な車検費用を把握し、車検か乗り換えかを判断しましょう。
以下の記事では車検時の自動車重量税を詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
「車検時の重量税とは?税額一覧表と計算方法を紹介」
5.まとめ
排気量が大きい車は、車検費用に含まれる自動車重量税が高くなります。また、サイズが大きい部品やパーツを使っている場合が多いため、部品の費用も高額になります。車検業者によって車検費用に大きな差があるため、自動車重量税以外の検査費用をいかに安く抑えるかをしっかり考える必要があります。
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