1.国産車と比較して外車の車検が高い理由
外車(輸入車)の車検費用が国産車に比べ高くなりがちなのには、以下の4つの理由が存在します。それぞれ見ていきましょう。
重量税がかかる
重量税(正式名称:自動車重量税)は主に車両の重さによって変動する税金です。後述する「法定費用」の一種で、どの車検業者で車検を受けても同じ金額を支払います。
重量税の課税額には、「車両の重さ」「エコカーかどうか」「経過年数」の3点が影響します。外車だからといって追加で課税されることはなく、上記3点が同じ条件であれば、国産車と金額は共通です。しかし、外車は国産車に比べ車体が重い傾向にあります。そのため、自然と重量税も高額となるケースが多いです。
部品交換代が高い
車に異常が見つかった場合、車検の合格基準を満たすために部品交換を行わなければいけません。外車は部品交換代が高くなってしまいがちです。国産車であれば交換修理に使える部品は市場にあふれています。車検業者が十分な在庫を手元に確保していることも多く、仮に取り寄せとなっても手軽に手に入りやすいため、利用者が支払う料金も比較的安価です。
しかし外車の場合は、国内ではあまり見かけない特殊なパーツが使われているケースもあり、交換部品の用意にも相応の費用や手間がかかります。結果、利用者の負担も増えてしまいがちです。
研修コストが高額になりがち
車検を担当する整備士には、車に対する高度な知見が求められます。国産車であれば日常的に整備する機会が多く、整備士の知識も技術も日々向上しますが、車検業者の規模によっては外車を目にする機会がほとんどない場合もあります。
メーカーが行っている研修を活用して整備士が学ぶ形となりますが、相応の参加費用がかかりますし、外車メーカーでは研修自体を行わないケースも多いため、各車検業者が独自に整備士を育てなくてはいけません。
結果、研修コストや教育費用が外車の車検メニューの価格設定にも影響し、利用者が支払う金額も高額になってしまうのです。
海外から部品を輸入するケースもある
部品の交換に際して必要なパーツが国内で手に入らない場合は、海外から輸入しなければいけません。その際には船舶や飛行機を駆使した輸送料も必要となります。
2.外車の車検にかかる費用
車検では、「法定費用」「車検基本料金」「部品交換・整備費用」の3点が費用としてかかります。具体的な金額こそ異なるケースが多いものの、国産車の車検と費用項目自体は同じです。外車だけに特別にかかる車検費用や税金はありません。
法定費用
法定費用とは、外車か国産車かに関わらず車検の際に必ず支払わなければならないと法律で定められた費用です。重量税を含む以下の3つの項目で構成されています。
名称 |
概要 |
おおよその金額 |
自動車重量税 |
新車の購入時や車検時に支払う税金。 車種や購入年数、エコカーかどうかで金額が変動する。 |
エコカー:5,000円~ エコカー外(乗用車):8,200円~ |
自賠責保険料 |
別名「強制保険」。 どの保険会社で加入しても料金は一律。 |
普通自動車かつ25ヵ月分:1万8,160円 |
検査手数料(印紙・証紙代) |
国や自動車技術総合機構への手数料。 |
普通自動車かつ持ち込み検査:2,300円 |
※価格は2023年6月時点
法定費用は車検時に業者に支払いますが、最終的には国や自動車技術総合機構などが受け取るお金です。そのため、どの車検業者を利用しても、あるいはセルフで車検を申し込んでも金額は変わりません。
法定費用の詳細は以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
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「車検の法定費用はいくら?内訳や車種別の金額目安、支払い方法を解説」
車検基本料金
外車が国産車と比べて高額になりやすい費用が、車検基本料金です。車検基本料金は法定費用と違って車検業者が独自に設定できます。このなかには、車検に通るかどうかの確認費用(測定検査料)や法定点検(24ヵ月点検など)の費用、各種事務手数料などが含まれます。外車の場合は前述の研修コストも反映されるため、国産車よりも料金が高額になりがちです。
部品交換・整備費用
同じく外車の車検で高額となりやすいのが、部品交換・整備費用です。その名のとおり、点検でトラブルが見つかった部品の交換など、車の整備にまつわる費用全般が部品交換・整備費用にあたります。
また車には、エンジンオイルや冷却水(クーラント液)など、問題が起きる前に定期的に交換すべき部品もあります。「元気に走っているから部品交換は必要ない」というわけにはいかず、車検時には何かしらの交換・整備費用が発生してしまいがちです。
車検基本料金や整備費用の詳細については、以下の記事を併せてご確認ください。
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「車検にかかる費用の相場はいくら?内訳や安く済ませる方法も解説」
3.外車と国産車の車検費用を比較
車検の費用は、外車と国産車でどのくらい差があるのでしょうか? 車検(継続検査)の法定費用に関して、人気車種で比較してみましょう。
ベンツのAクラス(外車)とトヨタのクラウン(国産車)の比較
高級外車の代名詞ともいえる「メルセデス・ベンツ(Aクラス:A200d)」と、トヨタを代表する名車「クラウン(2.5L HYBRID B
Four)」。それぞれの法定費用は以下のとおりです。
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ベンツ(Aクラス:A200d) |
クラウン(2.5L HYBRID B Four) |
自動車重量税 |
20,000円 (条件:車体重量~2t、13年未満、エコカー扱い) ※オプションの有無で金額の変動あり。 |
20,000円 (条件:車体重量~2t、13年未満、エコカー扱い) |
自賠責保険料 |
18,160円 (普通自動車 25ヵ月) |
18,160円 (普通自動車 25ヵ月) |
印紙・証紙代等 |
1,800円 (指定工場、技術情報管理手数料含む) |
1,800円 (指定工場、技術情報管理手数料含む) |
合計 |
39,960円 |
39,960円 |
実は、両者の法定費用に差はありません。意外に感じる方も多いのではないでしょうか?
ロールスロイスのファントム(外車)とトヨタのセンチュリー(国産車)の比較
続いては、ロールスロイスの「ファントム」とトヨタの「センチュリー」、国内外を代表する高級車の比較です。
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ファントム |
センチュリー |
自動車重量税 |
49,200円 (条件:車体重量~3.0t、13年未満、非エコカー扱い) |
25,000円 (条件:車体重量~2.5t、13年未満、エコカー扱い) |
自賠責保険料 |
18,160円 (普通自動車 25ヵ月) |
18,160円 (普通自動車 25ヵ月) |
印紙・証紙代等 |
1,800円 (指定工場、技術情報管理手数料含む) |
1,800円 (指定工場、技術情報管理手数料含む) |
合計 |
69,160円 |
44,960円 |
車体重量が2,700kg前後と重たいファントムは、自動車重量税も相応に高額となりました。法定費用だけでも24,200円の差が生まれています(※金額は条件によって異なります)。
4.外車の車検ができる車検業者比較
外車の車検ができる車検業者のサービスの特徴と、法定費用まで含めた一般的な相場を見ていきましょう。
ディーラー
メーカーの顔でもあるディーラーは製品に対する豊富な知識があり、入念に予防点検・整備まで行ってくれるのが特徴です。通常はパーツ交換時にも純正の部品のみを利用するため安心感があります。
しかし、これらの魅力と引き換えに、車検費用は他の車検業者よりも高額です。外車の場合、おおよそ12万円~14万円かかってしまいます。
車検専門店
車検専門店は車検を合格させることに特化した車検業者です。事前点検をほとんど行わないため車検時間が短く、費用も他の車検業者と比べると安価な傾向にあります。外車の場合、7万円~10万円ほどが相場です。
ただし、長く安心して車に乗り続けることを考えると、車検専門店の検査では不安がつきまといます。外車に安心して乗り続けたい方には向いていないでしょう。
ガソリンスタンド
身近なガソリンスタンドでも外車の車検対応を受けられます。車検を任せることで給油代金の割引をしてもらえるなど、優遇キャンペーンも多いのが特徴です。
外車の車検の場合、相場は8万円~10万円と比較的安価です。ただし、ガソリンスタンドは作業を外注しているケースも多く、その場合は時間と追加費用がかかってしまいます。
大手中古車販売店
さまざまな車を取り扱う関係上、外車に対しても豊富な知見があるのが大手中古車販売店です。国内では珍しい車についても詳しい整備士が多く、安心して車検を任せられます。
外車の車検の相場も、7.5万円~9万円と安めです。ただし、店舗の規模が小さい場合は外車を取り扱う機会が少ない場合もあり注意が必要です。
ユーザー車検
ユーザー車検とは、車検業者に依頼せず自分で運輸支局などに車を持ち込み検査を受ける方法を指します。車検業者に依頼しないため車検基本料金と部品交換・整備費用がかからず、必要なのは法定費用のみのため、外車でも費用を抑えられます。
しかし、プロでも取り扱いの難しい外車を自分で点検し、車検基準に合わせて整備するのは至難の業です。よほど外車に詳しい方でなければユーザー車検は難しいでしょう。
なお、車検を依頼できる業者については、こちらの記事で解説していますのでご参考ください。
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「車検はどこに出すのがおすすめ?車検業者の比較と選び方を解説」
5.外車の車検を安く済ませるコツ
最後に、外車の車検を安く済ませるコツをご紹介します。
中古部品の購入や必要な箇所だけ修理する
まずおすすめしたいのが、車検合格のために必要な箇所だけの整備と、中古部品の使用を意識することです。
前述のとおり、外車の車検費用が高く設定されている理由には、取り寄せ費用を含む交換部品代が高額であることが大きく影響しています。そのため、できる限り交換箇所を減らすことで費用を抑えられます。車検業者や担当の整備士と積極的にコミュニケーションを取り、最低限必要な場所のみの整備を希望する旨と、可能であれば中古部品を使用して欲しいことを伝えましょう。
国産車に乗り換えを検討する
どうしても外車の車検費用が負担となる場合、最終的な解決策として国産車に乗り換えることも解決方法の一つとなります。
車は年数が経つほど故障のリスクが増え、維持の負担が増していきます。重量税も13年経過と18年経過を境に課税額が上昇し、より車検費用は増加します。
すでに年数が経ち故障が目立ち始めたのであれば、車検費用の安価な国産車(特にエコカー)への乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか?
6.まとめ
外車に安心して乗り続けるためには、外車の取り扱いに慣れた整備士を豊富に抱えた車検業者を見つけなければいけません。
WECARSは、国産車だけでなく外車の車検対応にも豊富な実績があります。全メーカー・全車種の車検に対応しており、点検整備を担当するのはもちろん熟練の整備士たちです。また、WECARSは全国ネットワークを持っているため、外車の部品交換等での対応力についても安心してご利用いただけます。
まずはぜひ、無料の見積もりをお試しください。