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費用
2022/12/06

車の走行距離が10万kmを超えると車検費用が高くなる理由とは?節約方法も解説

車の走行距離が10万kmを超えると車検費用が高くなる理由とは?節約方法も解説

車の走行距離が10万kmを超えると車検費用は高くなる傾向にあります。しかし、「10万kmだから○万円」のような、走行距離から直接算出される費用はありません。

走行距離の多い車の車検費用が高額になる仕組みを正しく理解することは、費用の節約に役立ちます。車検費用と走行距離の関係や、部位別のパーツ交換の費用感、走行距離以外で費用が高額になる原因、車検費用を節約するコツを徹底解説します。

1.走行距離が10万kmを超えると車検費用が高くなる?

走行距離が10万kmを超えると車検費用が高くなる?

「車の走行距離が10万kmを超えると車検費用は高くなる」といわれることはよくありますが、これは少しだけ誤解を含んでいます。詳細を見ていきましょう。

走行距離別の費用はない

前提として、車検では走行距離に対して課せられる費用はありません。厳密には「走行距離が10万kmを超えても必ず追加されるような車検費用はない。しかし、部品の寿命によりパーツ交換が発生し、車検費用が高くなる可能性は十分にある」というのが正解です。

車検の費用にはさまざまな項目が存在しますが、大きく「法定費用」と「車検基本料」の2つに分かれています。それぞれの特徴は以下のとおりです。

  内訳 特徴
法定費用
  • 自賠責保険
  • 自動車重量税
  • 印紙代等
国によって定められた費用。どこの車検業者で依頼しても、ユーザー車検でも、同じ金額が必要となる。
車検基本料
  • 車の点検代(24ヵ月点検などの法定点検も含む)
  • 修理・部品交換代(パーツの代金や技術賃)
  • 各種書類の作成手数料
  • 検査場(運輸支局)まで車を往復させる時間賃
  • 車検証発行にまつわる手数料
  • 代車の利用料などが一般的。
車検業者が自由に設定できる費用。料金の内訳も金額も、業者やサービスごとにまったく異なる。

この中には、1万kmであっても10万kmであっても特別に課せられる料金はありません。

車検費用の相場はこちらの記事で詳しく解説しています。
play_arrow 「車検にかかる費用の相場はいくら?内訳や安く済ませる方法も解説」

車検基本料が高くなる可能性がある

走行距離が10万kmを超えた車は、多くの部品が寿命を迎えてしまうため、パーツ交換などの整備や修理が必要な箇所が増えます。結果として整備や修理の料金がかさみ、車検基本料が高くなることがあります。これが、走行距離が10万kmを超えると車検が高くなるといわれる理由です。

したがって、走行距離が9万9,900kmの時に「10万kmを超えないうちに」と慌てて車検を受ける必要はありません。

2.走行距離が10万kmを超えると車検費用が高くなる理由

車の走行距離が10万kmを超えるとどのような部品の交換リスクが高まり、また費用はどの程度かかるのかを見ていきましょう。費用感は依頼する車検業者や所有する車によってまったく異なります。今回は「エンジン廻り」「駆動系」「足廻り」の3パターンに分けて、おおよその目安をご紹介します。

エンジン廻りの部品交換の相場

エンジン廻りにおいて、走行距離が10万kmを超えた場合に交換する可能性がある部品と費用相場は以下のとおりです。

部品名 交換費用感
エンジンオイル 3,000円~
オイルエレメント 2,500円~
クーラント液 5,000円~
バッテリー 11,000円~
ブレーキフルード 5,000円~
ステアリングオイル 2,000円~
エアクリーナー 3,000円~
プラグ 10,000円~
プラグコード 6,000円~
ラジエーターホース 12,000円~
タイミングベルト 30,000円~
Vベルト 8,000円~
フューエルインジェクター 1万円~
フューエルフィルター 8,500円~
オルタネーター 2万500円~
サーモスタット 6,000円~

2,000円や3,000円ほどで済む部品もあれば、10,000円以上かかるパーツもあります。

駆動系の部品交換の相場

駆動系で交換する可能性がある部品とその費用感は以下のとおりです。

部品名 交換費用感
ミッションオイル 8,000円~
デフオイル 6,000円~
ATフルード 4,000円~
クラッチ 50,000円~

万が一クラッチが壊れてしまった場合は、高額な交換費用は避けられないため要注意です。

足廻りの部品交換の相場

足廻りで交換が発生する可能性のある部品と費用感は以下のとおりです。

部品名 交換費用感
タイヤ交換 1万5,000円~
タイヤローテーション 4,000円~
タイヤエンド 1万円~
ブレーキパッド(前) 1万5,000円~
ブレーキパッド(後) 2万円~
ブレーキホース 6,000円~
ブレーキキャリパー 2万円~
ドライブシャフト 2万5,000円~
スプリング 3万円~
ダンパー 1万5,000円~

タイヤ交換の金額は、どのグレードのタイヤを利用するのかによっても変動します。走行性能にこだわり抜かれた高級なタイヤを利用する場合、上記よりも費用は大きくなります。

3.走行距離以外で車検費用が上がる場合

走行距離にかかわらず、以下のような場合にも車検費用は上がってしまいます。

整備不良が多い場合

車のメンテナンスを普段から行っていないと整備不良が増え、車検費用も高額となります。おおよそ走行距離1万kmごとに交換したいエアコンフィルターのように、車のパーツの中には定期的な交換や補充を念頭に置いたものがあります。大切に乗っていても消耗が避けられない部品です。これらのパーツを車検時に一斉に交換することとなり、まとまった費用を請求されてしまいます。

経過年数が13年目以上の場合

車検時の法定費用の一つである自動車重量税は、車の経過年数が13年目と18年目になったタイミングで税負担が大きく増します。2022年6月時点での一般的な乗用車の自動車重量税は以下のとおりです。例えば、エコカーと13年以上経過した車では自動車重量税が倍近く異なります。

  エコカー 13年未満の車 13年以上 18年以上
軽自動車 5,000 6,600 8,200 8,800
~0.5トン 5,000 8,200 11,400 12,600
~1.0トン 10,000 16,400 22,800 25,200
~1.5トン 15,000 24,600 34,200 37,800
~2.0トン 20,000 32,800 45,600 50,400
~2.5トン 25,000 41,000 57,000 63,000
~3.0トン 30,000 49,200 68,400 75,600

(単位は円)

参考:【国土交通省】自動車重量税の税額表

車検のタイミングと費用については以下の記事でも詳しくご紹介しています。併せてご覧ください。
play_arrow 「車検は何年ごとに受ける?車種や回数ごとの間隔を解説」

4.走行距離が10万kmを超えた車検費用を節約するコツ

走行距離に対して課される車検費用はありません。しかし実際にはパーツ交換費用などがかさみ、結果として車検の料金も高くなりがちです。

では、走行距離が10万kmを超えた車の車検費用を節約するコツを見ていきましょう。

複数の車検業者で見積もりをする

最も大切なのは、複数の車検業者に対して見積もりを依頼することです。車検では法定費用はどこに依頼しても一定ですが、車検基本料は業者ごとにまったく異なります。

以下は、業者タイプ別の車検費用(法定費用を含む)の相場です。

業者 車検相場
ディーラー 軽自動車:5万円~7万円
普通車:10万円~12万円
整備工場 軽自動車:5万円~7万円
普通車:7万5,000円~10万円
大手中古車販売店 軽自動車:4万5,000円~6万円
普通車:5万5,000円~7万円
車検専門店 軽自動車:4万円~6万円
普通車:5万円~8万円
ガソリンスタンド 軽自動車:4万円~6万円
普通車:6万円~8万円

複数の車検業者に見積もりを依頼し、納得できる費用の車検業者を選ぶのが、車検を安く済ませるコツです。見積もりの際には、意図しない追加費用を発生させないように、パーツ交換の必要がありそうな箇所とおおよその費用を整備士に尋ねておきましょう。

車の乗り換えも視野に入れる

もし走行距離だけでなく経過年数も長く、車体にトラブルが頻発するようになってきたのなら、いよいよ乗り換えの時期かもしれません。

自動車重量税が13年と18年経過のタイミングで増えたり、多くのパーツが交換時期を迎えたりすることで、車検費用はますます高額になります。高額な車検費用を2年ごとに支払うことを考えると、思い切って新車や状態の良い中古車を購入するほうがコストパフォーマンスが良いかもしれません。なお、次の車がエコカーであれば、自動車重量税の免除(初回更新時)や減額も受けられます。

5.走行距離と車検に関連するよくある質問

走行距離と車検に関連するよくある質問と回答をご紹介します。

Q.5万kmを超えた時に費用が上がることはある?

車検の費用には走行距離から計算される料金はありません。5万kmであろうと15万kmであろうと、車の状態と経過年数が一緒であれば同じ金額で車検に合格できます。5万kmに到達してしまいそうだからといって急いで車検に持ち込む必要はありません。

Q.30万kmを超えると車検に通らないって本当?

走行距離が30万kmにも達するほど長年大切に乗り続けた場合も、5万kmや15万kmのケースと同様です。車検費用はあくまでも車の状態と経過年数に則って判断されますので、30万kmだからといって追加費用が発生することはありません。

しかし、例外的に知っておきたいのがトヨタ車の30万km問題です。2022年6月現在、15年ほど前に購入したトヨタ車の一部に、オドメーター(走行距離計)が30万kmに到達できない車があります。29万9,999kmでオドメーターのカウントがストップしてしまい、それ以上の走行距離を記録できなくなるというものです。

車検では車検証に走行距離を記載する必要があるため、この状態のオドメーターのままでは合格できません。合格のためには有償交換が必須となります。

6.まとめ

車検では走行距離から算出される費用はなく、9万9,900kmで車検に持ち込んでも10万kmで持ち込んでも料金は変わりません。しかし、走行距離が増えるにつれて車にトラブルが発生しやすくなり、結果として修理費用がかさみ車検の料金も高くなることがあります。走行距離の多い車の車検費用を節約するためには、複数の車検業者で見積もりを取るなどして、できるだけ料金の安いサービスを利用しましょう。

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